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記憶もまた、土に還る

by くのたん

記憶には個人単位の記憶と集団の記憶がある。
個人の記憶は純粋に自分が経験してきたプライベートな記憶。

集団の記憶は共有している記憶。
仲間との記憶、家族との記憶、日本人としての記憶、人類としての記憶。

記憶というのは別に今この世に生きている記憶だけではなくて、前世の記憶もあるし、遠い祖先の記憶もある。これらは自分で経験した、という実感はあまり湧かないかもしれないけど、確実に存在している。


今この時代に、この肉体で生きてきた記憶だけがすべてではない。心の底では戦争の記憶だってあるし、民族によっては虐殺された記憶、西洋の人だと異端審問の記憶だってある。

この世界に、トラウマを持っていない人間はいない。心のどこかで、惨い記憶を持っている。もちろん、幸せな記憶もあるだろうけど、基本的に悲しい記憶のほうが多いだろう。

祖先の記憶は土に記録される。人は亡くなると「土に還る」と言う。実は還るのは肉体だけではなくて、記憶も還るのだ。

そして土を通じて記憶を受け継ぐ。特に昔は土葬が多かっただろうから、記憶も宿りやすかったのではないかと思う。そして最近は火葬が多いから、そういう「記憶を受け継ぐこと」もあまりなくなってきているのかもしれない。
最近先祖との繋がりを感じない人が増えているのも、火葬が原因かもしれない。

日本は地震大国ってよく言われるけど、地震はもしかしたら土の記憶が影響しているかもしれない。土に埋まった先祖の思いが何かを訴えているようにも感じている。

プレートテクトニクス的な観点で日本列島を見ると、日本列島は結構特殊な場所にある。太平洋プレート、北米プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートの境目にある。日本列島は様々な土地に宿った思いを束ねる場所にあって、それが常に戦い合っているような感じがした。

地震だけではなく、他の災害も、土に眠る人の思いがしていることなのかもしれない。
これから夏も本番を迎える。夏というのは日本では死者が蘇る時期だ。
土の記憶もまた、蘇る時なのかもしれない。



くのたん
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