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実は言ってない名言から思ったこと

by くのたん

先日ネットで「実は言ってない名言ランキング」というスレを立てている人がいた。
それにはいろいろあったのだが特に興味深かったものをいくつか挙げてみる。まずは
クラークの「Boys, be ambitious」であるがこれは実は正確な言葉ではなく本当は「Boys, be ambitious、like this old man」らしい。

これは「少年よ大志を抱け」だけではなくニュアンスとしては「こんな老人でも頑張ってんだから、君たちも頑張りなさい」という感じになるようである。

「少年よ大志を抱け」だけだとなんだか壮大なイメージがあるが全文を読むともっと普通な感じである。Boys, be ambitiousだけにするとよりキャッチコピーっぽいというか、クラーク博士を偉大な存在としてイメージさせたいという当時の思惑があったのかもしれない。

私が特に驚いたのはリンカーンの名言だと思われていた「人民の人民による人民のための政治」という言葉が実はリンカーンのオリジナルではなく引用でセオドア・パーカーという牧師の言葉であったということである。

これはおそらくリンカーンを偉大な人物であると印象付けるためにしたことだったのだろう。

歴史を調べているとわかってくるのだけど、いわゆる「偉人」と呼ばれる存在は本当に偉大なことをしたから偉人と言われているというよりは当時の政治的な思惑などによって偉人に仕立て上げられていることが多い。
例えば明治維新の志士と呼ばれる存在が偉人のような扱いを受けるのは今の日本の体制にとって明治維新とは土台のような出来事であるためにどうしても国民には肯定的なイメージを植え付ける必要があるためだ。

話しが逸れてしまったけど要するに言い方ひとつで歴史まで変えることが出来るという言葉の力を改めて思い知ることになった。
特に外国人の名言は訳し方で全く別のものになったりする。

聖人と呼ばれているマザーテレサもいろいろな名言を残しているようだけどこの人に関しては実はかなり悪い話も多く、マザーテレサの悪魔的な部分を批判する人も実は結構多い。
名言の存在はそんな姿を覆い隠す力をもったものでもある。

板垣死すとも自由は死せず、という言葉は創作の可能性が高いようである。福沢諭吉の「天は人の上に人を作らず人の下に人を造らず」も福沢の言葉ではなく引用らしい。
しかもこの言葉がある「学問のすすめ」ではこの言葉を若干否定するために引用したようで福沢の思想を現す言葉では全くない。むしろ「公平ではないから頑張れ学生」みたいなニュアンスであるようだ。日本語は言い方次第で印象が変化する言葉であるが使い方次第である人物を善人から悪人へ、また悪人から善人へ変えることも可能である。

名言とはどうやら意図的に作るものらしい。だからその人物の人柄や思想を現すものではないことも非常に多い。

これからは名言は自分で作るようにしよう。有名な言葉にならなくたっていいから。
プロのコピーライターみたいにうまくなくても良い。自分の言葉で自分のこころを響かせようとそんな風に思った。


くのたん
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